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従って、この欠失の原因としてスプライシング異常が強く疑われ、次にスプライシング部位の解析を試みた。RH50糖蛋白遺伝子のゲノム構造はまだ明らかになってはいないため、欠失したフラグメントの5’末端の前後にプライマーを設定し、PCRを行い、得られたPCR産物のシークエンス解析をおこなった。その結果、欠失配列とその上流配列の間に1246bpのイントロンが見いだされ、コントロールのRhD陽性者では5’末にgt、3’末にagのスプライシング・コンセンサス配列が認められた。これに対し、Rhnullではスプライシングのacceptor siteのagがatに変わっており、この一塩基置換がこの部位におけるスプライシングの反応を阻害した結果、エクソン・スキッピングを生じたと考えられた(図11)。RH50遺伝子はRH遺伝子と約40%のホモロジーを有し、ゲノム構造的にも相同性が存在すると仮定すれば、同定したイントロンはイントロン7、欠失していたフラグメントはexon8に相当すると考えられ得た。
Cherif−Zaharら3)が同定したRH50糖蛋白遺伝子の変異は、51番チロシンのフレームシフト変異、79番セリンのミスセンス変異、362番アラニンのフレームシフト変異であるが、79番のミスセンス変異はRh抗原の減少をきたすRhmodにおいて見いだされた変異であり、それ以外のRhnullに見いだされた変異はRh50糖蛋白の

 

 

 

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